25人の白雪姫とお妃さま

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むかしむかし、あるところに小さな国がありました。王様はたいそうがんばり屋だったので小さくとも国は平和でした。がんばり屋の王様には娘が居ました。どうしても息子が欲しかった王様はがんばりましたが、なかなか息子はできませんでした。

25人目の娘が生まれた年、王様は遂に息子を諦めることにしました。王様はともかくお妃さまたちが「わたしたちは生む機械じゃないのよ」と怒って出て行ってしまったので仕方がなかったのです。

娘たちは白い雪のように透き通る肌を持っていたので、その美しさから白雪姫と名付けられました。王様はこの名前がたいそう気に入り、娘たち全員に白雪姫と名付けることにしました。

お城の人たちは少しだけ「困ったな」と思いましたが、考えてみれば直接お姫さまに用事がある人はそんなに居ませんでしたので、「まあいいか」と納得することにしました。

・・・

さて、お妃さまたちが居なくなって一年後、王様は新しいお妃さまを迎えることにしました。大層美しく王様にも優しい女性でしたが、ちょっとした欠点がありました。少しばかり嫉妬深くて妄想の癖があったのです。

それでも王様は美しくて優しいお妃が大好きでしたし、小さな欠点も好ましく思えるほどでした。お妃さまの妄想が入り込む余地の無い、誰もが羨むような幸せな日々は続き国民もみな幸せでした。

でも幸せな日々はある日突然に終わりを告げました。小さな国の幸せに嫉妬した隣国が王国に攻め込む準備を始めたのです。王様は国と愛するお妃さまを守るために忙しく飛び回り、お妃さまは1人ぼっちになってしまいました。

・・・

ある日、お妃さまが心寂しく過ごしていると、どこからか声が聞こえた気がしました。辺りには誰も居ません。ただ大きな古い鏡があるだけです。

お妃さまは鏡に映った自分の姿を見ながら誰にということもなく言いました。
「わたしはまだ美しいかしら。王様は愛してくれるかしら。」
すると、驚いたことに鏡から声が聞こえました。
「お妃さま、あなたはとても美しい。けれど白雪姫さまの方が何千倍も美しい。」
お妃さまは驚いて声も出ませんでした。

と、鏡は続けて言いました。
「その証拠に王様は白雪姫ばかり構って、お妃さまの所へはちっとも顔をださない。」
王様が白雪姫たちの所に頻繁に顔を出し、世話を焼いているという話はお妃さまも聞いていました。白雪姫は若く美しい。王様が取られてしまう。そう思うとお妃さまは気も狂わんばかりに心乱されました。

この時からお妃さまの心に黒いシミが広がり始めました。王様が白雪姫と外国の舞踏会へ行った。王様が白雪姫にドレスをプレゼントした。耳に入ってくるのは王様と白雪姫の事ばかり。お妃さまはもうじっとしていられませんでした。

・・・

ある日猟師を呼ぶと言いました。
「白雪姫、あの子を森に連れて行って。王様から引き離してちょうだい。もうあの子の話なんて聞きたくない。顔も見たくないのっ。」

お妃さまの命令となれば猟師は逆らえません。でも白雪姫と一口に言っても25人も居るのです。困った猟師は言いました。
「お妃さま、どの白雪姫から連れて行けばいいんでしょう。東の塔の白雪姫さまは王様とお出かけになっておいでですし、西の塔の白雪姫さまは先ごろ外国へお嫁に行かれました。緑の園の白雪姫さまは西の都の学者先生の下で学問をなさっておられるはずですし、教会で神にお仕えしている白雪姫さまもおられたはずです。」

猟師が白雪姫の名を繰返す度に、お妃さまの心の中のシミは大きく広がっていくようでした。そして遂に、お妃さまは猟師の言葉を遮るとこう言いました。
「もう良い。ともかく、ひとりずつでもこの城から連れて行って。白雪姫なんて名前もう聞きたくないのよっ。」
お妃さまの剣幕に怖ろしくなった猟師はともかくお城から白雪姫を連れ出すことにしました。中庭には都合良く2人の白雪姫が居ました。末の白雪姫と、花園の白雪姫です。

「白雪姫さま、お妃さまのご命令で森へお連れすることになりました。ご一緒にいらしてください。」
白雪姫たちは簡単に身支度を済ませると、すぐに猟師についていきました。2人はお妃さまと合う事はあまりありませんでしたが、王様の傍でいつも優しく微笑んでいた人です。きっと何か考えあっての事だろうと思いました。

猟師は2人を森の奥に住む小人たちに預けると城に戻りました。白雪姫はまだこの城に暮らしているだけでも10人以上居るはずなのです。しかし、城に戻った猟師は困り果てました。お城は、戦争になるかもしれないという事で誰もが忙しく、白雪姫たちもあちこちに出かけていてちっとも捕まりません。居場所が分かるのは鏡の前で泣いているお妃さまだけです。

・・・

「お妃さま、末と花園の姫は森へお連れしました。」猟師は白雪姫という名前を出さないように注意しながらお妃さまに報告しました。
「そう。……ありがとう。」お妃さまは小さな声でやっと答えると眠りに落ちました。お妃さまは鏡の言葉に苦しめられて、食事も喉を通らない日々が続いていたのです。

やせ細ったお妃さまの姿を可哀想に思った猟師は、一刻も早く白雪姫を森へ連れ出す事を決意したのでした。猟師は国中を駆け回り1人、また1人と白雪姫たちを森へ連れ出しました。

「お妃さま、あなたは美しい。けれど白雪姫にはかなわない。森の中で暮らす白雪姫にはかなわない。」
お妃さまが目覚めると鏡は言いました。
「白雪姫がこの世から居なくなれば王様は帰ってくるでしょう。」
この世から居なくなれば……お妃さまの頭の中で鏡の言葉がぐるぐると回りました。王様から遠ざけて森へ連れて行ってもまだ足りない。

「苦しまずに済むように毒をお与えなさい。りんごが良いでしょう。毒のりんごをお与えなさい。大丈夫、わたしはあなたの味方です。」
毒のりんご……苦しまずに死ねる毒のりんご、お妃さまも聞いた事がありました。北の山奥の小さな木に生っているという毒のりんご。真っ赤で見るからに美味しそうなりんご。でも、食べると眠るように息を引き取ってしまうという。

「決して食べてはいけないと言って与えなさい。食べて死んだなら言いつけを守らなかった白雪姫が悪いのです。大丈夫、人はいけないと言われれば言われるほどしてしまいたくなるものです。」
鏡の言葉は甘く強くお妃さまを捕らえてしまいました。もう、毒のりんごの事が頭から離れません。そう、悪いのは白雪姫。もしも死んでしまったとしても、それは言いつけを守らなかった白雪姫が悪いのです。

お妃さまは猟師を呼ぶと白雪姫にりんごを届けるよう言いました。
「決して自分たちで食べてはいけません」と言い添えて。

猟師は何がなんだか分かりませんでしたが、命令通りりんごを届け「決して自分たちで食べてはいけない」とお妃さまの言葉を伝えました。白雪姫たちにもどういうことだかさっぱり分かりませんでしたが、言いつけを守って小屋の脇に作った倉庫の中に仕舞いこみました。

・・・

お妃さまが心悩ませている間、王様の必死の外交政策は少しずつ確実に実を結び始めていました。周辺諸国に働きかけ、美人の誉れ高い白雪姫たちを各国の王子たちと結婚させ、懇意にしていた宗教指導者たちの後ろ盾も得て、隣国の包囲網を作っていたのです。

隣国は焦りました。大した資源があるわけでもない小さな国をつまらない嫉妬心から責め滅ぼそうとしただけなのに、反対に滅亡の危機に瀕することになってしまいました。

とはいえ、王様さえ居なくなってしまえば後はどうとでもなります。仮に王様の暗殺に失敗しても、世に知られた愛妻家の王様なら、お妃さまを捕まえれば言う事を聞かせられるかもしれません。

密かに精鋭部隊が集められ、決死の潜入作戦が行われようとしていました。

・・・

お城に危機が迫っていたその頃、森の白雪姫たちの下にも危機が迫っていました。白雪姫たちを捕まえて隣国に差し出せば、褒美が貰える上もしかしたら将軍にでもしてもらえるかもしれない。裏切りの誘惑に捕われた兵士たちが森へ向かったのでした。

ほどなく小屋に着いた兵士たちは白雪姫たちを縛り上げました。女と小人では、いくら性根が腐っているとはいえ兵士には勝てません。
「しかし、腹が減ったな。おい、何か食うもんは無いのか。」
兵士の1人が言いました。
「森で取れる食料もそんなに多くは無いんじゃ。猟師に頼みはしたが……。今はその棚にあるので全部じゃ。」
小人の言葉を聞いた兵士が棚を開けましたが、とても満足できる量ではありません。

「勝手に探させてもらうぜ。」
兵士は小人を蹴り飛ばすと、小屋の中を乱暴に探し始めました。しかしいくら探しても何もありません。頭に来た兵士が小人を蹴り飛ばしていると、隣の倉庫を見に行った兵士がりんごの樽を抱えて戻ってきました。
「見ろよ。美味そうなりんごだぜ。こんなに隠してやがった。」

「いけない。そのりんごは、お母様の……」
白雪姫が言い終わる前に兵士の蹴りが入りました。
「うるせーな。お前、状況分かってんのか?しかし、女王のりんごか、さすがに良いもん食ってやがんな。」
「まったくだ。自分たちばっかりこんな良いもん食いやがって。戦争になったら真っ先に死ぬのは俺ら兵隊だっての。」
兵士たちは持ってきた食料と酒、そしてりんごを食べ尽くすと皆眠るように倒れて動かなくなりました。

毒のりんごは白雪姫たちではなく兵士たちを殺してしまったのでした。食料を持ってやってきた猟師は、縛られている白雪姫たちと動かない兵士たちを見て驚きました。

まさかあの美味そうなりんごが毒のりんごだったなんて。しかもそんな怖ろしいものを白雪姫たちのもとに運ばせるなんて。猟師はお妃さまが本気で白雪姫を殺そうとしていたのだと怖ろしくなりました。

・・・

隣国の決死隊がお城に潜入した時、王様はお城を離れていました。ようやく国の事に目処が立ちそうだったので、お妃さまに内緒でプレゼントを用意しようと東の町まで出かけていたのです。

決死隊の目的はお妃さまに変わりました。彼女を連れ帰らなければ国が滅んでしまいます。国一番の精鋭たちです。腕は確かでしたが戦場で力を競うのではなく、忍び込んだ先で女性を連れ去るなどという不名誉な作戦、国の為とはいえ心は複雑でした。

心の葛藤を抑えつつ、お妃さまの部屋に忍び込むと彼女はそこに居ませんでした。なんとなく寝付けなかったお妃さまは鏡の間に居たのです。
「王様はもう、帰ってきてくださらないのかしら……」
鏡に映るやつれた姿を見ながらお妃さまはつぶやきました。こんなに寂しいのならいっそ死んでしまいたい……。

と、鏡に何かの光が反射しました。
お妃さまが振り返るとそこには黒い衣装に身を包んだ者たち。鏡の間の先には王様の寝室があります。暗殺者……。

隣国の決死隊は、鏡の間で月明かりに照らされたお妃さまのあまりの美しさに一瞬全てを忘れていました。痩せてしまったお妃さまに以前の美しさはありませんでした。でも、儚げで今にも消えてしまいそうなその姿は、月の光と相まって彼らに女神や妖精の姿を思わせたのでした。

お妃さまはとっさに先頭の影を抱き止めると叫びました。
「王様の所には行かせないっ!だれかーっ!!」

お妃さまの叫びに近衛兵や侍女たちが気付き、駆けつけるとそこには、目的を失って崩れ落ちた隣国の者が数人居るだけでした。お妃さまは彼女を連れ去ろうとする者たちを道連れに城から飛び降りたのでした。

・・・

急を聞いて駆け戻った王様が聞いたのはお妃さまの死でした。国に危機が訪れて以来、王様と国民たちを心配し食事もろくに取らなかった事。暗殺者から身を挺して王様を守ろうとした事。白雪姫たちを森に避難させていた事。遠く離れていながらその知恵と毒のりんごで白雪姫たちを守った事。お妃さまの事を聞けば聞くほど涙が溢れて止まりません。

王様は涙が枯れるほどに泣き、お妃さまの事を伝え聞いた国民たちもまた深く悲しみました。お妃さまは救国の母として愛され称えられ、亡くなった日は喪に服し彼女の為に祈り、国の平和を感謝する日になりました。

全てが潰えた隣国は降伏し、小さな国には平和が戻ってきました。王様はこの後、生涯お妃さまを思い、新たな妃を迎えることはありませんでした。各国の王妃となった白雪姫たちの相談役として、また25カ国連合の初代盟主として平和と小さな幸せを守る事に尽力し静かに暮らしました。

鏡は隣国の者たちを取り押さえる混乱の中で剣でも当たったのか割れていました。後に修繕され教会に寄贈されたのですが、その際に侍女の一人が声を聞いたような気がすると語っています。

「これで王様はあなただけのものです。」

おしまい。


・・・・・・・・・

完全にお妃さまが主役になっちゃいました(笑)白雪姫たちの影が薄いこと薄いこと。最初は白雪姫たち活躍させようと思ってたんですけど、お妃さまのキャラに引きずられてしまいました。

あ、今回勢いのまま書いただけなので、推敲も無しです。誤字脱字、かなりある事と思います。見つけたらバカだなぁと笑ってやってください。いや、お目汚し、失礼致しました(笑)
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